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火葬
葬儀の仕事は大抵父と祖父が受け持っているのだが、
今回は2つ仕事が重なったこともあって兄が火葬の仕事を手伝うことになった。
兄は困惑した面持ちで父と共に火葬場へと車を走らせていった。
兄の帰りを待っていると、 予定よりも1時間ほど早く兄だけが帰還してきた。
顔面蒼白だったが、兄は貧血をよく起こす体質だったのであえて触れない。
兄は突然嘔吐した

大量の嘔吐物が出てくるんだろうかと思うほど嘔吐していく。
呆気にとられていると、
兄は足を引きずりながらトイレへ走っていった

兄は日を追うごとに痩せていった。
食欲が全く沸かない上に目眩が激しいらしく、
常に何かをブツブツと呟き続けるようになった
耳を澄まして聞いてみると「いる…やべぇ…こえぇ…」
と延々と繰り返していた。
一週間近く続いたので病院へ出向くことになった。

俺が付き添いでついていった。
医者曰く「脳系のアレかもしんないから、検査してみようか」
アレって何だよと思ったが、兄を別室に送り出した。
結構な時間を待たされ、ようやく名前を呼ばれる。
医者が二人に増えていた。難しい顔で兄の病状を伝えられた。

人間には脳に無数の神経が走っている。
その中に、C系神経なるものがあるらしい。
C系神経にアドレナリンが分泌されると人間は恐怖や驚きを感じるとのことだ。
兄は常にC系神経が刺激されていたと告げられた。

なんでそんな状態になったんだよ…と思った時、
脳内の輪切り?レントゲン?みたいな写真を見せられた。
C系神経のところを棒で指されると、何となくその原因を感じ取った。
C系神経に、禍々しい模様をした何かが広がっていた。
奴だ。一瞬で察知する。

医者は他の病院の招待状を書くと言っていたが断った。
急いで兄を徐霊で有名な寺へ連れて行き、お祓いしてもらった。
結果として、兄は元気を取り戻した。
火葬で何か悪いものを拾ってきたのだろうと思う。
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